[百人一首]58 有馬山~。紫式部の娘

有馬山 ゐなの笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

有馬山の猪名の笹原に風が吹けば
さてそうですよ
あなたを忘れるはずがありますか

大弐三位
大弐三位(だいにのさんみ)は紫式部の娘になります。

このあたりの超豪華な人達はみんな彰子(しょうし)皇太后に仕えています。
大弐三位も、親子共々仕えました。
母とは、14~5歳で死に別れましたが
どっこい、親譲りの美貌と才能
そして持ち前のバイタリティで、仕事も認められ
どんどんステップアップしていきます。

恋も仕事も一生懸命!

太宰府の長官、高階成章(たかしなのなりあきら)と、
幸せな結婚を手に入れます。

鑑賞
最近、音沙汰ないじゃない。
どうしたの?

いやいや、君の方が心変わりしたのかと思ったよ

こんなやり取りの後の返歌です。

これすごいです。
言いたいことは、「人を忘れやはする」だけ
忘れるはずないじゃないですか。

その前に色んな物がくっついて
全体としてのイメージで
とても爽やかに
想いを伝える。

「人を忘れやはする」の前の「そよ」
それよそれ、みたいなことで
丁寧に言うと「あなたの言った事について言わせていただくと」

この「そよ」を風の音にイメージして、前の歌枕が存在する。

有馬山って兵庫県の有名な温泉地です。
個人的な話ですが
有馬に親戚がいます。
「有馬のおばちゃん」

猪名は兵庫県ではあるが、実は、有馬とは結構距離が離れている場所。
笹の原っぱで有名。

じゃあ、猪名の笹原だけで良いよね

ところが、昔から
有馬山と猪名って、なぜかペアで、歌枕として使われる事が多い。

さあ、なーんで?

ヒントは

なすがママなら
きゅうりはパパ






はい
言葉遊びですね

有りと否(いな)

私の心が離れたですって?
いえいえいいえの いなの笹原
ありあり有りの 有馬山
ってね。

色んな技巧や遊びを取り入れつつも
結局はコテコテ感がなく仕上がっているのが
やっぱり「そよ」
その前の「いで」は感嘆符だから
ああ、そよそよ

短歌って、品格というか風格というか
目の前にどれだけイメージをさせられるかが勝負ですよね

この歌返されたら
ああ、いらんこと言っちゃったなあ
と、素直に反省することでしょう。

まだ、おかしな事言うようなら
とっとと、別れておしまいっ

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